地域医療(Community Healthcare):
接続された医療における新分野
インターシステムズコーポレーション
医療担当取締役 ケリー・ストラットン
接続された医療(Connected Healthcare)の利点について論ずる多くの場合、全国規模の電子医療記録構築について語られますが、ほとんどの施策は、急性期医療の分野に集中しています。地域医療は、接続された医療戦略にとって新規開拓分野として注目されつつありますが、現状において、その独自の要求を満たすための技術は進化しています。
高齢化が進み、医療費が増大する中、世界各国での課題は、「患者の利益を増大させ、かつ医療費の削減をするには、どうしたらよいのか」ということです。1つの答えは、できる限り早く患者を急性期から移行させ、自宅や地域医療の手に委ねることです。精神的にも患者にとっては望ましいことで、費用削減やよい結果をもたらします。
これを達成するためには、急性期と地域医療間での情報共有が不可欠です。地域の医師は、患者の急性期での所見や治療計画について知る必要があります。心理療法士や在宅ケアの看護士など、医師以外で関係する地域での医療従事者も、その治療計画や関連した医療情報を確認する必要があります。
■ 社会医療の利益
医療結果を改善しつつ、政府は急性期医療コスト、そしてさらに社会全体としての医療費の削減を望んでいます。幼児虐待、薬物依存、アルコール依存などの急性期の医療費に影響の及ぶ社会問題についての、政府の責任への圧力もあります。その結果、地域にありながらも、そうした個々人により配慮をしています。
オーストラリアでは、例えば、Victorian HealthSMART プログラムなどを通して地域医療組織へのIT投資を行っています。ごく最近、ビクトリア州司法省と、InterSystems TrakCare™ 医療情報システムを提供するという画期的なプログラム契約に調印しました。これにより、今後出されるであろうさらなる新イニチアティブを以って、問題を抱える人たちへの精神治療と財務的支援が行われます。
InterSystems TrakCare 医療情報システムは、元々、急性期診療のためにオーストラリアで開発されたものですが、かかりつけ医師のいる診療所向けの機能といった地域医療のためのユニークな機能を追加してきました。チリにおいて、当社は、認定された医療ソリューションプロバイダ2社の1社として、政府との契約を得て、全国でかかりつけ医向けのソリューションを提供しています。
これらのソリューションは、技術的に簡単で、簡単にインストレーションができ、メンテナンスコストの低いものが求められます。さらに、使い勝手がよく、モバイル環境でも使える必要があります。最後に、といっても、これだけではありませんが、既存患者情報源に、簡単に接続する必要があります。それらの患者情報は、多くの場合、急性期医療組織に存在しています。
■ 一次診療と急性期診療
これら全ての地域医療ソリューションでは、複数サイトの複数の既存システムと統合する要求があります。1つの共通した方法は、InterSystems HealthShare(国または地域レベルでの医療情報交換向け、迅速に電子医療記録を構築するのためのプラットフォーム)のような製品を利用し、既存のIT投資を活用して素早く結果を得ることです。この方法は、複数サイトにある複数のシステムを接続して、異なる医療機関にある診療情報を集約し、1つの患者ビューを提供します。このビューは、設定によりフィルタすることができ、地域の看護師の見るビューと医師の見るそれとは異なります。
■ オーストラリアをつなぐ
オーストラリアは、接続された医療戦略を推進するよいポジションにある国といえます。一次診療レベルにおけるITの浸透率も高く、多くの他国よりもよい位置にあります。一般医療機関の70%は、Medical Director といった診療機関の管理と患者管理向けのシステムを導入しています。一般医療機関は、診療情報、特に処方情報の記録にITシステムを使用しており、多くの場合、投薬の記録もとっています。また、検査結果や診療記録、特にアレルギーに関する記録にも使用されています。
HealthShareの方法は、オーストラリアと類似した、例えばスウェーデンのようなケースで、検証された確かな方法です。スウェーデンでは、全国の病院を接続するプラットフォームとしてHealthShareが使われています。通常、全ての病院で使う適切な接続ソフトウェアを導入し、数社の急性期診療システムと、一般医療機関の共通医療システムの接続を行います。
Webベースのプラットフォームを使用するということは、性質の異なる診療機関からの情報を簡単に利用して1つの画面で患者表示ができることを意味します。結果として、医師、看護士、地域の医療専門家すべてが、適正な認証に基づき、アクセスが可能な仮想レポジトリを構築することが可能です。データは医療提供者の元に存在するため、この方法は、よく問題となる個人情報保護と安全の面からも管理がシンプルです。
■ 患者の医療記録へのアクセス
こうした全てのプロジェクトの一部、あるいは、政府機関の全ての人が昨今言及することに、患者による自身の記録へのアクセスがあります。これは、必ずしもプロジェクトを牽引するものではありませんが、地域で容認されれば、患者のアクセスは、そのソリューションの一部に含むべきであるという認識は高まりつつあります。
例えば、スウェーデンでは、市民が自身の医療記録にアクセスをするという具体的な計画があります。もちろん記録そのものの変更はできませんが、自分の記録を閲覧することと、その記録を誰が閲覧したかをモニタすることができます。
このモデルは、銀行がその記録を顧客に利用可能にしたことと類似しています。銀行は、記録を所有しバックアップも確保しています。アカウントの所有者として、顧客は自身の記録にアクセスができます。これにより、顧客は、便利さと、例えば間違えの修正など、ある程度自身でコントロール可能であるという快適さを得ています。
市民が得られる快適さと透明性は、接続された医療システムの受け入れるという点でよいことであるだけではなく、便利さも与えます。できる者であれば、患者自身がその記録に何かを書き込むことも可能です。例えば、自分で血圧や血糖値を測れる者は、診療記録の別の部分にそれらを記録することができます。もちろん、その情報は、医療を提供する側が付帯情報として閲覧できます。
■ 地域医療向けの機能を拡張
多くの医療情報システムは、元々急性期診療向けに開発されてきましたが、接続された医療は、地域医療向けに特化した機能も進んでいます。例えば、当社では、最近、EU(欧州連合)と研究契約を交わし、在宅監視機器からの情報を電子医療記録へ統合することを、多くの企業と取組んでいます。
1つの例では、患者の投薬情報を管理するタブレット機器を、家庭の電話線と接続しています。患者が投薬の時間になると、警告音で知らせ、機械がオープンし、投薬がきちんと取られたことを記録します。当社のシステムは、入力された情報をモニタします。もし患者がきちんと投薬を取らない場合、看護士に警告が行き、患者に電話をかけます。血圧、呼吸数、体温チェックなどは、この研究プログラムに含まれています。
ソリューションが増え、ベンダの機能が進んでいるという認識が広まれば、地域での情報技術を利用したイニシアチブが、さらに多く推進されるものと信じています。
しかし、この分野での取組み数の増加の大きな理由は、投資に対する価値であると思います。急性期と一次医療でのIT投資を活用することで、地域医療システムは、医療費という点と、新規のIT投資に比較すると非常に小さい費用であることという点で、大きな違いをもたらします。これが、世界各国が単純に見逃すことができない、一連の価値であると思います。
* 当ホワイトペーパーは、オーストラリアの医療ITマガジン Pulse + IT 2009年3月号に掲載されたものの翻訳です。
ご不明な点は、本文をご覧ください。

