Innovations in Your Industry

2011年10月14日
ITRエグゼクティブフォーラムより

「先進IT戦略企業にみる成功事例のご紹介」

インターシステムズジャパン(株)
代表取締役社長 植松 裕史

講演レポート(ユント:田中亘 氏)

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先進IT戦略企業にみる成功事例のご紹介

いま、我々の周囲には大変な変化が起こっています。

特にビジネスのグローバル化における経済環境の変化では、円高をはじめとして、欧州における経済混乱、中国の成長鈍化、そして米国の長引く景気低迷が、日本企業にも影響を及ぼしています。こうした背景から、日本企業には事業戦略の見直しや再構築が求められているのです。日本企業の競争力において、これまで得意としていた効率化の追求だけではなく、業務の革新につながる付加価値の創造が、必要だと考えられています。そこで、ITの活用を含めた付加価値創造のためのアプローチとして、わたしは3つのキーワードを提唱します。

  • イノベーション
  • 最高情報統括責任者 C.I.O.
  • 経営戦略とIT戦略の一体化

先進IT戦略企業にみる成功事例のご紹介

この3つのキーワードが重要になっている背景として、例えばキャノンの内田社長は、新聞のインタビューで「国内生産にこだわっているわけではない。--中略--苦しいときこそIT(情報技術)を活用した生産革新でコスト競争力に磨きをかける(2009年6月7日 日本経済新聞より)」と話しています。

いま本当に厳しく苦しい日本の企業の現実を見てみますと、アジアへの進出が盛んです。インドネシアのグリーンランドインターナショナルインダストリアルセンターには、3000haの次世代総合都市をめざす広大な敷地が用意され、日系の製造業もすでに30社以上が進出しています。また同じくインドネシアのカラワン工業団地にも、92社が進出しています。相当な産業の海外への集積が予想されます。

また日本企業の動きに関して、早稲田大学の寺本先生は、競争時代の「企業組織」に求められる変革として、次の三つのポイントを指摘されています。

  • スピード
  • まず着手
  • 経営戦略と同期化

スピード

経営者に求められるスピードとは、物理的な速さ(Fast)だけではなく、先見性をもって事前に手を打つ早さ(Early)であると説明されています。

まず着手

次にオペレーションの面では、これまでのPDCA(Plan,Do,Check,Action)ではなく、まず着手して、いけるとなったら本格的にリソースを投入する do-see-plan(dsp)という実験機動型アプローチが必要とされています。

経営戦略と同期化

そしてCIOの役割においては、CEOやCFOと3者で緊密に連携し互いに行き来して、経営戦略や事業戦略とIT戦略を同期化させ、イノベーションを通して競争に打ち勝つとりくみを実践しなければならないと指摘されています。

先進IT戦略企業にみる成功事例のご紹介

イノベーションを継続的に続けていくのは、大変なことだと思います。例えば、SONYのハワード・ストリンガーCEOは、2009年1月8日のCESにおける講演で、次のような7つのイノベーション分野について話をされています。

  1. 業種を超えた融合商品
  2. 顧客サービス重視の哲学
  3. 多機能商品の開発
  4. オープンテクノロジーのサポート
  5. 新しい経験を共有する先進性
  6. 新しい「価値の連鎖」(企業や産業を超えて相互に価値を創造)
  7. 環境重視

これら7つの中で、製品とか技術ではない変革への取り組みは2、5、6、7となり、現在の企業戦略における付加価値とは何かがわかると思います。

こうしたイノベーションは、古い価値体系に対して創造的破壊を行うことによって、新しい価値体系が生まれると、ヨーゼフ・アーロイス・シュンペーター(1882-1950)教授によって、いまから約100年前に提唱されています。

先進IT戦略企業にみる成功事例のご紹介

かつては、企業競争力の源となるイノベーションは、効率化や形のある製品や取引でした。現在は、価値創造や想像力や変革力が重視されています。こうしたイノベーションを主導するのは誰になるのでしょうか。

それは世界的なアンケート調査によって、CIOの役割だと考えられています。例えば、米国IDGによるCIOへのアンケートによれば、ビジネス・イノベーションのアイディアを出すのはCIOが80%という解答が得られています。

CIOが単なるIT部門のサービス提供者ではなく、経営における業務革新に不可欠であり「CIOがリーダーとして業務革新を推進すべきである」と、世界の企業では共通の認識を持っています。

こうした背景から、CIOの役割も変化してきています。

ICTという閉じた世界における従来の実務型から、チーフ・イノベーション・オフィサとして、企業戦略の立案に深く関わり、イノベーションを牽引または実現する戦略型の存在という役割が求められています。

先進IT戦略企業にみる成功事例のご紹介

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この戦略型の役割を果たされて、イノベーションを実践している3つの企業を紹介いたします。

まず、世界の小売業を目指すイオン株式会社様は、「基盤技術刷新によるTCOの削減」を達成されました。イオン様は、180社以上の会社からなる一大グループ企業です。その規模は、連結営業収益で5兆1700億円に達し、店舗数は国内No.1、スーパーマーケット売上高も1兆8000億円と国内一位です。イオン様の競争力の原動力となるコア・コンピタンスは、スケールメリットとグループシナジーであり、商品開発や物流にITやマーケティングなど、機能の集約化や効率化によるコスト削減を推進されています。その戦略フレームにおきましては、戦略物流システムの構築と、経営とIT戦略を一体化された業務改革が、重要なテーマとなっていました。そのために全国に独自の物流ネットワークを構築し、物流戦略に力を入れています。

この物流戦略において、イオン株式会社様では、戦略物流ネットワークの構築に、2006年からInterSystems Cachéを採用されました。以前に利用していたWMS構築のITに対する投資対効果を再検証したところ、不十分な効果しか得られていないと判断されたからです。そこで、さらなる効率化とコストダウンというイノベーションを追求した結果、システム運用の再検討とDB再評価が行われ、Cachéの採用による大幅なTCO削減を実現しました。公表されている詳細なパフォーマンス試験によれば、性能比で135.88%の向上、TCO削減においてはCPUが30%減、ストレージも70%減という成果が示されています。

先進IT戦略企業にみる成功事例のご紹介

次のメディセオ様は、医薬品や医療機器などの総合卸売企業です。メディセオ様のIT部門では、常に改善の可能性を検討されていて、ハードウェアの更新というタイミングを契機に、さらなる処理能力や生産性の向上とコストダウンを図るために、Cachéを導入して、革新的改善を達成しました。

改善の可能性を常に追求していかれるという取り組みが、メディセオ様の企業文化であると思います。同社のIT部門では、特に営業部門の支援に力を入れていまして、2000年からEVEというオープンシステムによる情報系システムを稼動させていましたが、さらなる処理能力や生産性の向上とコストダウンを図るために、インターシステムのCaché導入という判断に至ったのです。

株式会社メディセオのCachéによるシステム改善の効果は、月次処理で1/4、オンラインレスポンスで1/16、バッチ検索で1/2という高速化を実現し、同社の業務改善にも大きく寄与しています。加えてメディセオ様では、情報系システムのEVEにおいて、継続的イノベーションの成果を達成されています。一回変えたら終わりではなく、継続的な改善や改革を行うことで、革新的なイノベーションを続けてこられているのです。

先進IT戦略企業にみる成功事例のご紹介

そして、Cachéをデータベースにした診療情報システムを構築している宮崎大学医学部附属病院様では、日本初となるAndroidスマートフォンによる電子カルテシステムを導入しました。患者様へのより質の高い医療を提供していこうと取り組み続けている宮崎大学医学部附属病院様では、開発の自由度や端末のバリエーション、普及度や発展性などを鑑みて、Android端末の導入を決断されました。決断までの期間は、2010年7月にAndroid端末をワイヤレスジャパンで見てから、2011年5月に導入するまでという、わずか10ヶ月というスピード感です。システムの概要は、Cachéデータベースをバックボーンとして、電子カルテIZANAMIのアプリケーションサーバと、Android端末用のWATATUMI向けアプリケーションサーバが連携する形で、250台の端末が導入されています。将来的には、600台以上の導入が計画されています。

先進IT戦略企業にみる成功事例のご紹介

以上のような日本国内の先進的な事例を見ていきますと、先進IT戦略企業にみる成功要因は、現状への危機感や問題意識を常に持ち、継続的な革新に向けた積極的な取り組みです。それと同時に、ITをビジネス基盤として重視し、技術力とビジョン、そしてスピードと決断力で、新たなビジネス・イノベーションと価値を創造しているチャレンジにあるといえるでしょう。

先進IT戦略企業にみる成功事例のご紹介