ホワイトペーパーとアナリストレポート

米国防省の医療情報システムCHCSのデータベースに対する
アドホック・クエリのリアルタイム実行

Dave Nelson
エンジニア, 米国防省プログラム担当

インターシステムズ コーポレーション

Scott Lofgren
マネージャ, 米国防省プログラム担当
インターシステムズ コーポレーション

要約

Davis-Monthan AFB Medical CenterのIT担当部署では、CHCSデータベース対応のアドホック・クエリの作成、実行にかかる時間を、数週間から数分へ大幅に短縮するソリューションを開発しました。そこには、インターシステムズの専門家の協力がありました。そのソリューションはCachéデータ・サーバ上で稼動し、読み取り専用のオブジェクト・クラスとしてCHCSのデータ構造を投影します。また、アドホック・クエリの作成にはGUIツールを使用しています。大半の処理はCachéサーバ上で行われるので、結果的にCHCSデータ・サーバにかかる負荷は著しく小さくなります。

MDAR-T(Medical Data Access Real-Time)ソリューションは、CHCSデータベースを使用している軍の治療施設(MTF)に最適であり、既に数か所の軍事施設や基地で導入されています。

はじめに

軍内部では、医療管理が一つの課題となっています。国防省のCHCS-1(Composite Health Care System)データベースに蓄積されたデータは、個別のテーブルで構成され、約3,000のテーブルが存在しています。このシステムは、医師が一度に1人の患者を治療する場面には適していますが、必要な情報を集めて病院全体やプログラム全体で統計として扱う処理には適していません。

現在、CHCSデータベースから統計情報を収集するには、複雑なアドホック・クエリを作成し、実行する以外にありません。これらのクエリは専門的なプログラム技術を必要とします。また、そのような技術者であっても、作成から完成まで2週間を要することもあります。さらに、複雑なクエリの実行は、日常業務におけるCHCSデータ・サーバのパフォーマンス低下を避けるため、夜間のみに限られています。したがって、プログラムの費用や進捗の監視、レポートの作成、公衆衛生の傾向把握などに必要な情報は、既に数週間も古いデータであることもしばしばです。

MDAR-Tソリューション

CHCSはインターシステムズの技術をベースにしているので、Davis-Monthan AFBのIT技術者は、システムに負荷をかけずにリアルタイムでデータベースから統計情報を抽出する方法について、インターシステムズにアドバイスを求めました。回答は、インターシステムズの主要製品であるDBMS、Cachéを搭載したサーバを追加することでした。Cacheには、CHCSデータを蓄積するために使用している多次元配列との互換性があります。しかも、データをオブジェクトとして投影することもできます。さらに、Caché自身からデータへのSQLアクセスが可能なので、広く普及している使いやすいクエリ言語を使用してクエリを作成できます。

MDAR-T(Medical Data Access Real-Time)アプリケーションを開発するには、CHCSデータベースの低レベル・データ構造に対応する読み取り専用オブジェクト・クラスをCachéサーバ上に構築します。Caché独自の特長である「統一データ・アーキテクチャ」により、Cachéのすべてのオブジェクト・クラスは自動的にリレーショナル・テーブルとして利用可能で、SQLクエリを実行することもできます。SQL(Simple Query Language)は、大多数のデータ分析やレポート作成のツールで幅広く採用され、普及している業界標準の言語です。MDAR-Tソリューションでは、Cachéが備えているGUIツールを使用すれば、わずか数分で複雑なクエリを作成できます。また、市販のクエリ・ツールやシンプルなテキスト・エディタを使用してSQLクエリを作成することもできます。

クエリを実行すると、Cachéサーバは、DCP(分散キャッシュ・プロトコル)というソケット間接続でCHCSサーバに接続します。DCPを使用するCachéサーバでは、CHCSサーバをシステムに存在する1台のハード・ドライブのように扱い、要求への対応に必要なデータを読み取ることができます。Cachéサーバでほとんどの処理を実行するので、CHCSサーバで通常の処理パフォーマンスが低下することはありません。CachéとCHCSの接続は読み取り専用なので、CHCSのデータが変更、破損、削除される危険性はありません。

MDAR-T Architecture diagram

利点

MDAR-Tソリューションの利点が、速さと使い勝手の良さであることは明らかです。クエリで抽出したデータは、CHCSデータベースから数分で取得できます。従来のアドホック・クエリでは、作成からデータ取得まで数週間を要していました。さらに、クエリの作成にGUIツールを使用すれば、治療施設のユーザでも作業が可能となります。高度なプログラミング技術は不要です。

もう1つの利点は、データ表現の柔軟性です。Cachéでは、データに対してリレーショナル・データベース的なアクセスとオブジェクト・データベース的なアクセスの両方が自動的に可能となります。リレーショナル・データベース的なアクセスでは、ODBC互換またはJDBC互換のあらゆるアプリケーションでデータを利用できます。Cachéオブジェクトは、Java、C++、COM、XMLなどのオブジェクト指向テクノロジで使用できるので、簡単にWebアプリケーションやワイヤレス・アプリケーションを実現できます。

次のステップ

MDAR-Tは、Davis-Monthan AFBでの試作品開発を経て、現在、米国内の施設や基地で導入が進んでいます。将来は、国防省のCHCSデータベースから統計データを取得する必要のあるすべての施設でMDAR-Tが展開される可能性があります。

MDAR-Tはデータ分析やレポート作成のソリューションとして設計されていますが、そこではCachéを実行するサーバを使用して、CHCSデータベースが持つデータのオブジェクト表現を作成しています。このMDAR-Tと同じ技術を使用して、他のアプリケーションを開発できる可能性も見えてきました。


CHCS(コンポジットヘルスケアシステム)とは:

世界400箇所の診療施設にて使用されている、米国軍のオーダーエントリーシステム。800万人以上に医療提供をする世界でも最大級の医療情報システムで、検体検査、放射線検査、処方などの指示と記録のほか、外来予約や患者管理などに使用されている。